いよいよ大学の淘汰が始まる
高齢化社会を意識するボクの肌感覚として、受験戦争という言葉は死語になりつつあるという印象を持っている。もちろん受験が大変なのは以前と変わらず、これから年明けにかけて受験生は正念場を迎えるのだろう。
ただ少子化の割には、大学が減っていない気がする。つまり『大学に入る』ということだけに注目すれば、受験戦争という言葉にリアリティを感じない。ボクのその感覚は、さほど的外れではないらしい。
大学、特に私立大学の資金繰りがヤバい。文部科学省の資料によると、2020年度における私立大学の財務状況は、599大学のうち222校でマイナスとなっている。地方の私立大学は43.3%が赤字となっていて、都市でも36%が赤字とのこと。
このまま推移すれば、約2割にあたる121の学校法人が資金ショートする恐れがある。つまり助け舟がなければ倒産してしまうということ。学生を抱えたままで、講義を継続することが不可能になってしまうかもしれない。納入した授業料等も返ってこない可能性がある。
その最大の原因はもちろん少子化。リンク先記事のデータを読んで驚いた。
『文科省の資料で18歳人口の推移を確認すると、1992年度の204万9000人がピークだった。2020年度は約116万7000人にまで減っているが、2040年度は約88万人になる見通しだ。これから20年で現行より25%ほど減るのである』
そのうえ新型コロナが火に油を注いでいる。コロナ禍による家庭の経済事象で大学の併願をやめたり、進学そのものを断念する人が増えている。授業がリモートなら意味がないということで、高額な下宿代を払ってまで都会の大学に進学する人も減っているそう。
だから多くの大学で定員割れが起きている。生徒あってこその大学。政府から私学助成金が出るとはいえ、予定している生徒数から予算を組んで学校法人を運営している。だから入学者が減れば、当然ながら資金繰りに困る。
こうなることは以前からわかっていた。新型コロナはそんな実態を加速させただけ。受験生が減っているのに、大学数や定員が増やされている。需給バランスを考えたら、破綻するのは目に見えていたはず。
おそらくこれから先、倒産する大学が出てくるだろう。当面は公立化という逃げ道や、財務補填等でどうにか生徒を守ろうとするだろう。だけど実際に倒産する大学が一校でも出てきたら、その流れを止めることはできないと思う。
そもそも大学が多すぎる。厳しいけれど淘汰が起きるのは当然だと思う。さらに、大学教育そのものが機能しているかという問題もある。いまは大学を出ていない人たちが起業して、上場するような会社を立ち上げている時代。終身雇用も年功序列も過去となりつつある現代において、倒産の危機は大学という存在を見直すいい機会なのかもしれない。
東大や京大でさえ、世界的には大学としてのランキングを落としている。抜本的な見直しを進めないと、日本の大学教育は形骸化していくばかりだと思う。
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