SOLA TODAY Vol.2
中世のころは、まだ科学と宗教がある意味一体化していました。ですから当時は地動説を主張すると、迫害を受けました。神の御心に反しているという裁定を受けることになります。
近代になって科学と宗教は分離しました。どちらも人間の生活には密着していますが、相容れないものとして交わることがありません。ところがさらに時代が進むと、物理学が宗教の領域に踏み込んできました。特に量子物理学が研究されることで神が証明されるのでは、と期待されています。とても興味深い記事を見つけました。
この記事は量子テレポーテーションを実現させた、ウイーン大学の量子物理学者であるアントン・ツァイリンガー氏のインタビューを記事をまとめたものです。量子テレポーテーションというのは、SF的なテレポーテーションではありません。量子もつれの関係にある二つの粒子のうち、一方の状態を観測するともう一方の状態が確定することからこの名前がつきました。
わたしは量子物理学の分野が好きなので、概念的には理解しています。でも数式等はちんぷんかんですので、手も足も出ません。とにかくこの世界の一人者ということですね。ツァイリンガー氏はこのように述べています。
「量子物理学が神と直面する時点に到着することはあり得ない。神は実証するという意味で自然科学的に発見されることはない。もし自然科学的な方法で神が発見されたとすれば、宗教と信仰の終わりを意味する」
結論から言えば、量子物理学が神を証明することはできない、ということです。これだけ聞くと、ちょっとがっかりしてしまいます。科学と宗教が一体になることが絶望的に見えてきます。ところがよく記事を読むと、その言葉にもっと深い意味が隠されていることがわかります。
『神は人間の言語体系と認識メカニズムでは把握できない」と説明しています。この言葉によって博士が言わんとしている意味が理解できました。
これは覚醒したと言われる聖者が述べていることと、まったく同じです。物質世界は二元化の世界です。善と悪、闇と光が存在します。ところがいわゆる『神』という存在は、そうした二元化を超越したものです。
科学的に何かを証明しようと思うと、言語や記号という二元化されたものを使用しなくてはいけません。わたしたちの思考も言語に基づいていますから、口に出しただけで二元化を避けることはできません。つまりどれだけ頑張っても、『神』を証明することはもともと無理なのです。
現代の量子物理学を牽引する学者が、このような言葉を述べられたことに感激しました。彼は決して『神』を否定しているわけではなく、物理学者の立場としてその存在を認めています。それは「宇宙は偶然に誕生したものだろうか?」という問いに対する彼の言葉に表れています。
「偶然でこのような宇宙が生まれるだろうかと問わざるを得ない。物理定数のプランク定数がより小さかったり、より大きかったならば、原子は存在しない。その結果、人間も存在しないことになる」
宇宙のすべてを成り立たせているこの完璧なバランスを、ツァイリンガー氏は『神」だと考えているのでしょう。素晴らしいインタビューでした。。
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