今日の言葉 5月10日
『感情に名前を付けない時』
一つの感情を観察すると、その感情は終わりを迎えます。しかしいくらその感情が終わっても、その感情とは別個に、観察者、見物人、検閲官、思考者が残っていると、そこには依然として矛盾が存在します。ですからどのように感情を見つめるか、ということを理解するのが非常に重要なのです。
私が言っているのは、つまり、その感情に名前を付けたり、ラベルを貼ったりする時点で、あなたはその感情を古いものの枠組みに押し込んでしまっているということです。で、その古いものが観察者、すなわち言語や概念、それから何が正しくて何が間違っているかなどという見解によって構築された、感情とは切り離された独立体であるのです。
しかしもしあなたがその感情に名前を付けないならば——これには途方もない気づき、多分な直接の理解が必要とされますが——、そうすると、観察者や思考者、判断を下す中心は何も存在しないことに気がつくでしょう。そして自分がその感情以外の何ものでもないことに気がつくのです。それを感じている「あなた」などというものは、存在しないのです。
〜クリシュナムルティ著『四季の瞑想—クリシュナムルティの一日一話』より〜