SOLA TODAY Vol.12
銀行がなくなる。近い将来そんな事実が起きても不思議ではない材料が揃っています。そうした危機感を、銀行サイドの一部の人は感じているでしょう。そして手遅れになる前に事態を打開しようとしています。ところがそこに「3つの倣満」があるそうです。
FinTech(フィンテック)とは、Finance(金融)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語です。テクノロジーを駆使して生まれた新しい金融サービスのことを指します。分かりやすいところでは、強固なブロックチェーンで構築されたBitcoinのような新しい通貨です。
あるいはLINEなどは相手の口座を知らなくても、知り合い同士で金銭のやりとりが可能になっています。海外ではiPhoneを使ったApple Payが普通に使えますし、日本でも間もなく利用可能になるでしょう。GoogleやFacebookでも同等のやりとりができるようになっています。スクエアという端末の普及で、個人商店でもカード決済に対応できるようになってきました。
先進国で現金を手にして買い物をしているのは、今や日本人だけではないでしょうか? 25日や月末になると銀行のATMでは長蛇の列ができています。でもそんな姿は、明らかに世界の潮流に反しています。そのことに気づいた大手銀行がFinTechを先導するスタートアップの会社に接近しようとしています。ところがこの記事にあるように「3つの倣満」があるとのこと。
(1)スタートアップ企業を「業者」扱いする
(2)既存事業と同じ指標・尺度で判断してしまう
(3)事例主義・実績主義の慣行から抜けられない
この3つの倣満の詳細は、リンクしている記事を読んでいただくと詳しく書かれています。なるほどなぁと思いました。簡単に言いますと、銀行側に一流企業意識が抜けていない、ということです。スタートしたばかりのベンチャー企業を見下していて、新しい技術を導入させてもらうという謙虚な気持ちがまったくありません。
ベンチャー企業が金融に関してどれだか新しい技術を開発したり、便利な機能を生み出しても、銀行は上から目線で対応します。実績もない企業とは、対等に話ができないという態度を持ちます。するとどうなるか?
スタートアップ企業は銀行から離れていきます。ウザいですから。GoogleやFacebookのような企業に買収されたり、開発した技術を供与することになります。そして、そのような多国籍企業が銀行に変わって金銭の流れを支配することになります。銀行は自分たちの「倣満」によって、自らの首を絞めることになるのです。
この記事にも書かれていますが、あのビル・ゲイツはこう言ったそうです。
「銀行の機能は必要だが、銀行は必要か?」
そのとおりだと思います。銀行の機能にとって変わるものが、新しい技術によって日々生み出されています。Bitcoinのような通貨が主流になってしまえば、外国への送金も手数料が発生しません。国家が貨幣の価値に介入できなくなるので、中央銀行の機能が無用になってしまいます。そんな時代がすぐそこに来ています。
それなのに地方銀行や信用金庫等の金融機関の人たちは、いまだに月末になると得意先を回っています。そしてノルマがあるので金を借りて欲しい、預金をして欲しい、と言って頭を下げています。ある会計事務所の経営者がネットの記事で、月末になると信用金庫の支店長がやってくると嘆いておられました。金を借りてくれるように、顧問先に言ってくれとのこと。日本の銀行はいまだにそんな商売をしているのです。
銀行というと最先端の一流企業というイメージがあります。ところが歴史の長い会社が多く、内情は旧態依然としたものが残っています。固定したイメージにとらわれた幹部によって経営されているのです。ですから新しい技術を取り入れようとしても、「3つの倣満」が出てくることになります。
今のままでは銀行は消えてしまうと思います。その機能だけが、強大な企業に吸い取られてしまうでしょう。海外の金融機関はその危機を感じ、具体的に動いています。このままでは日本の銀行は世界から取り残されていくかもしれません。そのためには、銀行を利用しているわたしたちの意識も変えていく必要があるかもしれませんね。
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