モヤモヤがループする物語
ザ・ローリング・ストーンズというオジ様バンドも頑張っているけれど、やはり若手のロックバンドは勢いが違う。ここ数年はロックの復権を感じていて、ポップス系の歌手でもロックヴァージョンの曲が増えている。
そんななか正統派のロックバンドとしてブレイクしたマネスキン。イタリア出身のバンドで、今やワールドツアーを行うようになった。来月には神戸に来るんだよなぁ。チケットを取ってないけれど（涙）
現在は『RUSH！』という作品がニューアルバムで、最近になって新曲が追加されている。『Honey (Are U Coming？』という最高にノリノリの曲もそう。さらに他の追加曲のミュージックビデオが制作されていて、数日前に『Off My Face』という曲のビデオが公開された。
マネスキンらしいハードな曲なのでリンクを貼っておこう。ロック好きの人なら気に入ってもらえると思う。
さてそんなノリノリな気分がズシリと落ち込むような小説を紹介しよう。第167回の直木賞を受賞した短編集。どの物語もモヤモヤが残って、行き場をなくした辛い想いがループしてしまうような作品。だけど言語化できない魅力があって、心に深く残る物語ばかりだった。
2023年 読書＃99
『夜に星を放つ』窪美澄 著という小説。５つの短編が収録されている。簡単に紹介しておこう。
『真夜中のアボカド』
主人公は双子の妹を交通事故で亡くした。その寂しさを抱えながら婚活アプリで理想の相手を見つけるが、最低の結末が待っていた。
『銀紙色のアンタレス』
16歳の高校生男子の失恋物語。相手は子供がいる女性。どことなく切なくなる。
『真珠星のスピカ』
交通事故で亡くなった母の幽霊と暮らす女子中学生が主人公。父親には母の幽霊が見えない。主人公は学校で酷いいじめに遭っていて、パニック障害を起こしている。ある日いじめを仕掛けてくる同級生に、幽霊の母が娘のために立ち上がった。これまたラストは切ない。
『湿りの海』
妻にアメリカ人の愛人ができたことで離婚した主人公の男性。愛する３歳の娘はアメリカへと連れて行かれた。そんな孤独を抱える主人公が、隣の部屋へ越してきたシングルマザーと出会う。彼女には３歳の娘がいた。愛する存在に手が届かないという胸が苦しくなる物語。
『星の隨に』
小学校２年生の時に両親が離婚して母と別れた少年が主人公。父は再婚して赤ちゃんの弟ができた。実の母に会いたい。だけど義理の母も弟も愛している少年。大人の事情で葛藤を抱える少年の悲しみを描いた物語。ボクと同じような境遇で少年の気持ちがわかるだけに、本当に胸が苦しくなった。
スッキリした気持ちにはなれないけれど、なぜかもう一度読みたくなる物語ばかりだった。さすが直木賞作品だね。
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