終わり良ければすべて良し
よっしゃ、やっと新作小説の初稿が書けた、15万字を少し超えてしまったけれど、原稿用紙に換算して410枚ほどなので想定内。500枚以内に収めたかったから、それほど大きく削らなくてもすみそう。
逆に少しは書き足すこともできるので、明日からの推敲に気合いが入る。ただ少なくとも4回は推敲したいので、あまり時間はない。スピードアップしないと月末になってあわてることになる。楽しい作業だけれど、のんびりムードは排除しておかなければ。
今日は少し急ぎ気味でエンディングを書いたので、推敲にあたってはもう少し掘り下げるつもり。やっぱり小説のラストは大切だし、その部分を書きたいがために10万字以上も費やしてきたんだからね。
「終わり良ければすべて良し」という言葉は、物語の世界ではモロに当てはまるものだと思う。まさにそのことを感じさせてもらえる小説を読んだ。
『ブラック・ベルベット』恩田陸 著という小説。
この物語が面白いのは、冒頭からサスペンスの香りがすること。主人公は男性だけれど、バイセクシャルの恵弥(メグミ)という女性言葉を話す人物。アメリカ資本の製薬会社に勤めていて、未知の薬品をハンティングするのが仕事で、世界中を駆け回っている。
ある謎の人物から、トルコである薬品の情報を売りたいと接触を受ける。トルコに行くことを知った友人から、ついでにある失踪女性の捜索を依頼される。ところがトルコでその女性を発見するけれど、彼の目の前で通り魔に刺殺されてしまう。
というような雰囲気で始まる物語で、高校時代の友人が二人登場する。ひとりはトルコで日本料理店を経営している男性。もうひとりは大手ゼネコンの社員で、大きなプロジェクトを抱えてトルコに駐在している。
この3人の不思議な旅が始まるんだけれど、そこで様々な陰謀が明らかになってくる。主人公の所属している会社がアメリカ政府の命令を受けて、トルコで極秘に化学兵器を作っていることがわかる。刺殺された女性は、そのことに関わっていたというもの。さらに違法な武器輸出や、麻薬の製造に日本人が関わっていることも明かされる。
そんなドキドキ気分で物語は進むけれど、エンディングで一気に雰囲気が変わる。見事なハッピーエンドで終わる。この変換が見事で、拍手をしたくなるほど感動してしまった。
二人の友人がある事実を告白することで、すべての謎が解ける。2015年に出版された比較的新しい小説なので、謎解きはここで書かないほうがいいだろうね。ちょっとした驚きを体験したい人は、ぜひ読んで欲しい。さすが恩田さん、彼女の小説はいつも意表を突かれる。
とにかくこの小説を読んだ人は、思わず「終わり良ければすべて良し」とつぶやきたくなるはず。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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