こんな方法があるとは！！
午前中は青空が広がっていた神戸ですが、夕方になって厚い雲に覆われています。夜には雨が降って、その後は最強の寒波が来るとのこと。
明日の外出は雨と寒さの中の散歩になりそうです。坂道を早足で登っても汗をかかないかもしれません。
今日は都道府県対抗全国女子駅伝がありました。京都の町並みをテレビで見られるので、毎年必ず生中継で楽しんでいます。アンカーではトップだった京都が、ものすごい勢いで追ってきた千葉の選手に抜かれました。残念でしたけれどラストで盛り上がる面白いレースでした。思わず仕事をしていた手が止まりましたからね。
どうしても出身地の京都と、現在住んでいる兵庫を応援してしまいます。アンカーにタスキが渡ったときは京都と兵庫のワンツーフィニッシュになりそうでしたが、兵庫は２位、京都は４位でした。また来年を楽しみにしています。
そして今日17日は、阪神淡路大震災から21年です。その頃私は京都にいましたが、つい最近のことのように憶えています。時が経つのは早いものですね。こうしてブログを書きながら神戸の風景を見ていますと、いろいろな思いが心をよぎります。
神戸の地方紙で神戸新聞というものがあります。震災当時、少しでも情報を伝えようとして奮闘された新聞社の方たちのドラマが作られています。嵐の櫻井翔さんが主演されています。時間がなくてまだ見ていませんが、近いうちに感想が書けたらと思います。
さて、先ほど読了した本です。
『オキーフの恋人 オズワルドの追憶』辻仁成 著という本です。
不思議なタイトルですね。上下巻になっている長編で、今日は上巻を読み終えたところです。何も考えず図書館で手にした本ですので、全く内容を知りません。読み始めてこのタイトルの意味がわかりました。
この単行本、二つの小説が併記されているのです。だからこうしたタイトルになっています。
『オキーフの恋人』はこの単行本のために書き下ろされました。そして『オズワルドの追憶』は週刊誌で連載されていた小説を、加筆修正されたそうです。
『オキーフの恋人』は出版社の若い編集者が主人公です。担当している作家が失踪します。その作家の代理人は盲目の精神科の女医。虐待を受けて封印された記憶を掘り起こし、この先の人生で受け入れていけるようにするのが本業です。その作家は女医の患者でもありました。
連載中の作品の原稿は送ってくれますが、作品が完結してたら作家は自殺するらしい。代理人の女医に依頼されて失踪した作家を探すうちに、彼自身も幼児期に虐待を受けていたことがわかります。辻さんらしい、心の奥に踏み込んだ小説です。
そしてその編集者が、失踪中の作家から送られた原稿を読みます。その小説が『オズワルドの記憶』です。物語の舞台は下北沢で、失踪した作家の住所も下北沢。ですからこの単行本では、二つの全く違う小説がつながりを持ち、同時進行する構成になっています。こんな方法があるとは！！
『オキーフの恋人』の中で編集者が原稿に目を通すと、章が改まって『オズワルドの記憶』が始まります。探偵が主人公で、女子高生を狙う連続殺人犯を追う物語です。さらに上巻の最後では、別の犯人による老女誘拐事件が発生します。探偵が世話になっていた大金持ちの女性が被害者です。
とにかくこの探偵のキャラが最高です。純文学の作家である辻さんですが、『オズワルドの記憶』は完璧なエンターテイメント小説です。東野圭吾さんの緻密さと、伊坂幸太郎さんのユーモアと、宮部みゆきさんの社会の問題をあぶり出す視点が混ざったような秀作です。これだけでも引き込まれてしまう作品なのですが、『オキーフの恋人』と混ざり合うことで想定外の化学反応を起こしています。
辻さんの筆力の素晴らしさに圧倒されます。きっと、どんな雰囲気の作品でも書けるのでしょうね。今夜はさっそく下巻を読みます。続きが気になって、気になって。物語全体の感想は下巻を読了したら書きたいと思っています。
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