SOLA TODAY Vol.645
旅の最大の楽しみは、移動している感覚を味わうことだと思う。だから自動車であれ、列車であれ、車窓からの景色が旅のごちそうになる。
それゆえ空を飛ぶ旅客機にも窓がついている。貨物専用機や軍事用の飛行機には、操縦席以外に窓を見ることはできない。
ところが旅客機から窓をなくそうとしている航空会社がある。
それはアラブ首長国連邦のドバイに拠点を置くエミレーツ航空。今のところファーストクラス限定で、窓のない座席を公開している。だったら外の景色を見るという楽しみがなくなってしまうのか?
いや、そうではなく、タイトルにあるようにバーチャル窓が導入されている。機体の外側にファイバーカメラを設置することによって、外の景色がリアルな映像として座席から見ることができる。いやはや、面白いものを考えたよね。
実は旅客機において、窓というものは邪魔で仕方ないらしい。最近でも窓の破損による人命に関わる事故が起きている。本来は窓をつけないほうがいいけれど、旅情を考えるとそうはいかない。それで航空機メーカーはなんとか窓を設置してきた。
でも今の時代なら、本当の窓は必要ない。ほぼ同じものを映像で見せることができるようになったから。最終的にすべての窓をなくすことができれば、いいことづくしになるとのこと。
まずは構造的により強固になるので、飛行の安全性が大幅に向上する。機体を軽くすることができるので、燃料の消費を抑えられる。さらにより速く、より高く飛ぶことが可能になるので、移動時間を短縮することができる。大勢の乗客を運べる音速旅客機が登場するかもしれない。
法律的な問題をクリアする必要があるけれど、現在の安全基準に合致させることは充分に可能らしい。最終的に問題となってくるのは、乗客の気持ちの部分だろうね。
この記事にも書かれているけれど、閉所恐怖症の人にとって、飛行機という空間そのものが恐ろしいらしい。ボクは狭いところが好きなので、その感覚はわからないけれどw
窓があってもそういう気分になるのに、窓がないと思うだけでより閉塞感が強まる可能性がある。窓があろうとなかろうと、開けられないのは同じ。だったら安全性が高いバーチャル窓のほうがいいはず。でも人間の心理は合理的にできていないから、そこのところが難しいんだろうね。
ボク個人としては大歓迎。現実なんてバーチャル世界と同じようなものだから、それで充分だと思うよ。燃料も節約できて、安全性も高まって、さらに運賃が安価になれば言うことなしだよね。
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