大学の淘汰は止められない
我が家のすぐ近くに私立の女子中高がある。新しい学科が創設されることになったようで、正門には大きな広告が出ている。そして週末になるとオープンキャンパスをやっていて、小学生とその両親が見学に来ている。
他の学校との差別化を打ち出していかないと、少子化に対応していけないからだろう。公立学校なら自治体による統廃合で少子化に対応できる。だけで私学の場合は決められたキャパ内で子供を集めないと経営が成り立たない。この私学が行なっているのは当然のことで、もし何もしていない私学があるとすれば、その学校の未来は暗い。
まだ義務教育期間を含む中高なら、学校の努力次第で対応できるかもしれない。だけど大学はそうも言っていられない。すでに自助努力の限界値を超えているように思う。いよいよ本格的に大学の淘汰が起きる時代になってきた。
余る大学、2040年に「240校」 想定超す少子化が迫る淘汰
この日経の記事は、データを基にした内容なのでかなりショッキング。2022年生まれの日本人は77万744人で、統計を取って初めて80万人を割った。この子供達が大学に進学する2040年には18歳の人口が77万人ということになり、中央教育審議会が予測した推計を11万人も下回ることになった。
これはシャレにならない数字。リンク先の記事による試算だと、2040年時点で約240校の大学が過剰だという結果が出る。現状のままの大学進学率で推移すれば、2040年には学生の集まらない大学が240校になってしまうということ。
この数字を見込んで、すでに大学の淘汰が進んでいる。ボクの身近な神戸では神戸海星女子学院大が学生募集の停止を公表している。上智大学や龍谷大学でも、短期大学部の閉鎖を発表しているそう。
この先も大学が生き残ろうとするなら、他校との差別化を徹底するしかない。それができない大学は撤退するしかない状況になった。将来の見込みがない大学は、これから先に次々と消えていくだろう。
この影響は想像より大きいと思う。大学では大勢の人が働いている。大学の淘汰が進めば、それらの人たちが職を失う。大学院に進んで研究者の道を進もうと思っても、大学そのものがなくなっていくので教授への道が閉ざされる。さらに大学と深く関わってきた業者だって連鎖倒産するかもしれない。
もちろん若い世代への影響も無視できない。大学の定員割れが続くような状況だと、学歴の価値が薄れてくる。つまり社会に出ていくに際して、学歴を凌駕するスキルが求められるようになってくる。終身雇用を廃止しようという動きも進行中なので、いい大学を出て、安定した職業に就くという道は過去の遺物になってしまうだろう。学歴よりも実力が重視される時代になるのは必至。
2040年にボクが生きているかどうかわからないけれど、もし生きていたらその時の社会がどうなっているか興味がある。最善なのは急速に大学を淘汰して、世界と勝負できる学府にリノベーションしていくことだと思う。大学が量から質への大変革を起こさないと、日本の未来は期待できないだろうなぁ。
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