日本が台湾から学べること
今日の午後に恐ろしいニュースが駆け抜けた。岸田首相が和歌山の演説予定だった場所で爆発音がしたという報道。犯人はすぐに取り押さえられ、岸田首相にも怪我はなかった。昨年の安倍さんの事件を思い出して、背筋がゾッとした。
すでに海外では首相暗殺未遂事件として報道されている。ところが日本ではそのような扱いで報道されていない。この差は海外の人たちと日本人の危機意識に、大きな温度差があると感じてしまった。そうした温度差は、台湾有事が発生したときに取り返しのつかない状況を引き起こしてしまうかもしれない。
台湾の総統選挙が来年にある。台湾を自国領土にしてしまいたい中国共産党にすれば、まずは選挙で中国寄りの総統を誕生させるために全力を注ぐだろう。だけど台湾の人たちの民意がノーと答えたなら、いよいよ本気で軍事侵攻を考えるかもしれない。
もしそんなことになったら、この人はどうするだろう? そう思える人物が台湾にいる。そんな彼(彼女?)の考え方を知ることができる素敵な本を読んだ。
2023年 読書#40
『天才IT大臣オードリー・タンが明かす問題解決の4ステップと15キーワード』オードリー・タン著という書籍。この本の構成としては黄亜琪という方がオードリーの発想や考え方が項目ごとに解説して、それに続いてオードリーの文章が記されている。だからとても理解しやすい書籍だった。
オードリーの名前は、コロナ禍の初期で知った人が多いだろう。ボクもそうだった。トランスジェンダーを公表していることでも知られている。コロナでマスクが不足していたとき、日本ではわずかな在庫を求めてドラッグストアに長蛇の列ができた。それでも買えずに、否応なしでマスクなしの生活をしている人が多かった。
ところがオードリーは同じ状況だった台湾において、ITを駆使することでその問題を一気に解決してしまった。オードリーはAppleでシステム開発の仕事をしていて、あのSiriの人工知能プロジェクトに関わっていた。そして現在の台湾総統である蔡英文政権にて、最年少のデジタル政務委員に就任した。そして見事に結果を出している。
なぜそんなことができたのか、この本を読むとわかる。と言って誰にでもできることではないかも。ボクが全体的に感銘を受けたんは『傾聴』という精神。オードリーは常に傾聴ということを意識していて、他人の話をじっくり聞くことで問題解決の糸口を見つけ出している。自分の主張を述べてばかりいる日本の政治家にとっては、耳が痛い言葉だろうと思う。
さらに死生観も筋が通っている。生まれることをログイン、死ぬことをログアウトと表現していた。その感覚もボクの死生観の印象とマッチする。そしてオードリーは、「自分がログインした世界が、ログアウトしたときに少しでも良くなっていたら嬉しい」と思って日々の仕事に取り組んでいるとのこと。
オードリーの政治に関わる取り組み方は、日本人も大いに学ぶべきところがあると思う。来年の総統選挙で台湾の代表は変わる。そのときオードリーはどうするのだろう? 台湾有事という見過ごせない危険が迫るなか、来年以降のオードリーの去就がとても気になる。
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