家族の嘘を暴いた恐ろしい嘘
12月10日なのを忘れてしまうほど、今日の神戸は暖かい。最高気温が17.4度で、かつほとんど風が吹いていない。一昨日までのセーターを脱いでシャツにダウンを着て出かけたけれど、シャツだけでよかったかも。買い物から帰ってきただけで、かなり汗ばんでいた。
今週いっぱいくらいは平年より高い気温が続くらしい。暖冬なのはありがたいけれど、なんとなく不安になってしまうのが自分勝手な人間の心理。地球温暖化が気になったり、異常気象で大きな地震が起きないかと心配してしまう。素直に暖かいことを感謝すればいいのにねwww
さて、なんとも言えない複雑な気持ちになる映画を観た。主人公がドローン爆撃機の操縦士なので、戦争映画かと思って観た。ところがそれはネタでしかなかく、嘘がもたらす人間のゴタゴタを描いた作品だった。
2023年 映画#200
『ドローン・オブ・クライム』(原題:Drone)という2017年のカナダ映画。主演はショーン・ビーンで、ピアース・ブロスナン時代の007作品や、ボクが溺愛する『ロード・オブ・ザ・リング』でボロミアを演じた大好きな俳優。どの映画で観ても存在感の強さを感じる役者さん。
彼が演じるニールは写真のようにドローン爆撃機の操縦士。CIAからの極秘任務を委託されていて、暗殺のターゲットを攻撃するのが仕事。この仕事は精神的にきついと言われている。
イーサン・ホークが主演した『ドローン・オブ・ウォー』という作品でも、この仕事で心を病んでしまう主人公が描かれている。自分は安全な場所にいてコンピュータ操作で人を殺す。この矛盾に人間の精神は耐えられなくなるのだろう。
この映画のニールも心のどこかで罪悪感を覚えていた。なぜならドローンによるミサイル攻撃で民間人の巻き添えもあるから。妻と16歳の息子との3人暮らしだったが、自分の仕事については家族に嘘をついていた。
そう、この映画のテーマは戦争ではなく『嘘』だった。
大雑把にストーリーを説明しよう。パキスタン人のイルミという男がニールの自宅を訪ねてくる。理由は売りに出している船を買いたいというもの。ところがイルミはニールのミサイル攻撃で愛する妻と娘を巻き添えで殺されていた。それがわかった理由は置いておいて、ニールの家族に復讐するためにやってきた。
バッグには家が丸ごと吹っ飛ぶ爆弾が入っている。ペン型の起爆装置のスイッチを押すだけ。イルミはニールに対して、家族に自分の本当の仕事を明かすように脅す。家族の命を救おうとして、ニールは自分がCIAの仕事をしていることを告白する。
ところがイルミは巧妙で、家族の秘密を探っていた。ニールの妻は浮気をしていた。そのことを家族に告白させる。16歳の息子は、祖父が老人ホームで亡くなった時にその場にいなかったと嘘をついていた。本当は自分が一緒にいる時に祖父は死んだのに、怖くなってその場から逃げていた。
イルミの脅しのせいで、仮面家族の化けの皮が剥がれてしまう。爆弾で死ぬことがなくても、この家族は崩壊するしかない。イルミの作戦はある意味で成功だった。それでもニールは家族を守りたい。チャンスを狙って、イルミを刺し殺すことに成功する。
そこでもう一つの大きな嘘がわかった。イルミが爆弾だと言っていたバッグには、妻と娘の写真が入っていただけ。イルミの命をかけた嘘によって、ニールの家族の嘘が暴かれたというなんとも言えない重い雰囲気の映画だった。
エンタメ作品としてはイマイチかも。だけど嘘にまつわる人間ドラマとして見応えのある作品だった。ショーン・ビーンらしい素晴らしい演技だったなぁ。
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