日本人が反応する避難ワード
桜が終わって、神戸は新緑の季節になった。自宅から見える六甲山は、ひと雨ごとに鮮やかな緑を広げている。そのうち初夏の暑さになって、やがて梅雨や台風の季節がやってくる。
そんな雨は稲作に欠かせない。日本にとって必要な雨なんだけれど、適切な量で降ってくれないのが困りもの。線状降水帯という言葉が示すように、一度降り出した雨が長時間続くことが多い。そのうえ台風もやってくるので、早めの避難ということが欠かせない。
ところが自分の家は大丈夫だという、根拠のない自信ゆえに避難しない人がまれにいる。そして被害を受けて亡くなったり、救助に向かった消防や警察の人たちが二次災害に遭うこともある。そんな人たちに速やかな避難を促すワードがあるそう。とても面白い記事だった。
「もうみんな避難していますよ!」本当に日本人の避難指示に役立つと判明!
リンク先の記事に紹介されているジョークがある。これがかなり笑う。架空の豪華客船が沈没寸前。すぐに海に飛び込むしか助からない。そんなとき、その船の船長は乗客にどのような言葉をかければいいか? 乗客の国籍によってかける言葉が違うというジョーク。記事から抜き出してみよう。
アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄ですよ」
イギリス人には「紳士はこういうとき海に飛び込むものです」
ドイツ人には「船の規則なので飛び込んでください」
イタリア人には「さきほど美女が海に飛び込みましたよ」
フランス人には「決して飛び込まないでください」
さて、日本人にはどんな言葉をかければいいのか? なんとなく想像できるよね
日本人には「もうみんな海に飛び込みましたよ」となる。いやいや、マジで笑ってしまった。同調圧力に弱い日本人アルアルだよね、これに関して千葉大学の研究チームが本気で検証した。
日本人に「同調バイアス」は有効なのかという心理実験。この結果は、まさに先ほどのジョークどおりだったとのこと。避難誘導のアナウンスを聞かせる実験で、ほとんと同じだけれどある部分だけ変えてある。同調バイアスの高い順に示すと、
「対象地域のほとんどがすでに避難をしています」
「対象地域の方がすでに避難をしています」
「避難所がすでに開設されています」
この心理実験の結果、最初のアナウンスを聞いた人の多くが身近に危険が迫っていると感じたそう。他の人がほとんど逃げていると聞かされることで、日本人の同調バイアスが働いてしまう。予想どおりだけれど、とても興味深い検証だった。
この日本人の同調バイアスは、いい意味でも悪い意味でも使えると思う。悪用すれば大勢の人をパニックに陥れることが可能だろう。だけど差し迫った災害に対する避難勧告の場合、この同調バイアスをうまく活用できるはず。
一人でも多くの人命を救うため、こうした集団心理を適切に組み込む方法について、行政は本気で検討するべきだと思う。
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